トロコンした今、改めてLeft Aliveを考える
タイトルにも書きましたが、Left Aliveのトロコンをついに達成いたしました!
実績メインでプレイしだすと、いろいろと余計なことをしないといけないので億劫になっていましたが、無事に達成できたので良かったです。
トロコンを目指している間に、このゲームはいったい何なのか、どうしてこのゲームを自分は面白いと感じたのか、ゲームの面白さとは、これが目指していたものは何だったのか、みたいなことをずっと考えてましたので、それらを改めて記事にしたいと思い、書きました。
僕が前回書いたLeft Aliveの記事はここから見れます
katsuoprogrammer.hatenablog.jp
- 個人的なLeft Aliveの評価
- そもそもこのゲームは何なのか
- Left Aliveのゲーム性をDemon's Soulsと比較し、考えてみる
- プレイヤーは超人か?それとも非力な存在か?という問題
- このゲームは理不尽なのか?
- 最後に
- 追記 カジュアルモードについて
個人的なLeft Aliveの評価
前回の記事で、僕はこのゲームを(個人的)良ゲーという意見で記事を書きましたが、トロコンをした今でもその考えは変わっていません
ただし、このゲームはいろいろなシステムを盛り込んだ挑戦作であり、人を選ぶゲームであると考えています
自分がこういう考えをしている人であるということを踏まえて以下の記事を読んでいただければ、幸いです。
当たり前ですが、以下の文章はすべて個人の意見です。
そもそもこのゲームは何なのか
Left Aliveをクリアした人はこのゲームを細かく分解すると、どのゲームに近いのか?みたいなことを考えたはずです(考えてなかったらごめん)。
しかし、このゲームにビジュアルが似ているゲームはあったとしても、同じジャンルのゲームだと認識できるものは思いつかないのではないでしょうか。パッケージの絵は似てるけどメタルギアソリッドでもなく、同じく難易度が高いとされるDemon's Soulsもシステムから大きく違いますし..
そういったことを考えていてついに結論に達しました、このゲームはTPSという土台の上に成り立つジャンル「Left Alive」というゲームだと!前回の記事でもそれっぽいことは書いていましたが、プレイするたびにこんなゲームやったことないな...っていう思いが強くなります。
プレイヤーがこのゲームにどのような評価をつけるかは「Left Alive」というジャンルが受け入れられるかどうかに全てがかかっています。
Left Aliveのゲーム性をDemon's Soulsと比較し、考えてみる
ここでLeft Aliveのゲーム性をDemon's Souls(以下デモンズソウル)と比較して考えていきたいと思います(デモンズソウルを全く知らない人はごめんなさい)。
「なんでデモンズソウルなんだよ、最近SEKIROとか出たし、フロムゲーならもっと新しいのがいっぱいあるだろ」って思う人もいるはずなので弁明すると、僕がソウルボーンと呼ばれるフロムゲーたちの中で、一番好きなのがデモンズソウルだからっていう理由です。
こう書くと、「デモンズソウル=Left Aliveって考えてんの?」と思われるかもしれません。
個人の考えですがデモンズソウルは高難易度ゲームとして完成された出来であり、LeftAliveはいろいろと改善点があるゲームだと考えていますし、どちらも高難易度ゲームだとは思いますが、死ぬ回数はデモンズソウルの方がはるかに多いと思ってます(まあジャンルが違うものを無理やり比較してる時点でおかしいとは思う)。
デモンズソウルとLeft Alive両者ともに、単純なアクションの腕を上げるだけでなく、位置取りとか、道具の使いかたを把握することによるプレイヤースキルの向上、それにより高い壁を乗り越えさせる達成感を得ることに楽しみを見出させるゲームだと個人的に考えていて、デモンズソウルは上昇したプレイヤースキルで敵を倒すゲームなのに対し、Left Aliveは上昇したプレイヤースキルで、リソースの消費を抑え、敵との無理な戦闘は避けるようにするゲームです。
ここが大きく違うポイントです、デモンズソウルは敵を倒すことにリターン(お金やアイテムの取得、安全に道を通れるなど)がありますが、Left Aliveにおけるリターンは(一定確率でアイテムがもらえる、安全に道が通れるようになること)だけです。
またデモンズソウルで敵を倒す際には、こちらが使うリソースである武器の耐久度、体力だとかの再補充が容易であることが多いです。何なら特定のルートを通り、同じ敵を倒し続けるといった、マラソンと呼ばれる行為まで存在しますし、使った道具の多くはお店で再補充できちゃいます。つまりは敵を倒すためのリソース<リターンのゲームデザインです。
しかしLeft Aliveの敵は一定確率でアイテムを落としますが、多くの場合は敵を倒すのに使うリソースの方が多くなります。つまりは敵から拾える弾よりも敵に打ち込んだ弾の方が多くなります。
またデモンズソウルのようにマラソンによるアイテム稼ぎは無く、道具はフィールドに落ちているものや、アイテムボックスに入ってたものを拾う以外の補充手段も無いため、戦闘を起こすことのメリットはかなり少ないです。要するに敵を倒すためのリソース>リターンのゲームデザインです。
他にも違う個所はあります、デモンズソウルにはゲームオーバーはありません、プレイヤーは生身で死んでもソウル体となり、冒険は続きます。
しかしそのステージは、ショートカットなどを開通していない限り最初からやり直しです。ですが、デモンズソウルにおいて死んだ際に学んだ知識は無駄になりません。
敵に囲まれて死んだのなら敵を分散させてから戦う、罠で死んだのなら罠を避けていく、あの敵は危険だから喧嘩は売らないなど...こういった知識を得てプレイヤーは徐々にステージを乗り越え、ショートカット開通までたどり着き、やがてはステージのボスを打ち負かし、クリアします。そこで出てくる「THE DEMON WAS DESTROYED」の文章を見て、プレイヤーは1つの戦いが終わったことが分かり、手を休ませ、達成感に浸ります。
デモンズソウルは高い難易度を乗り越えた区切りに達成感を味合わせることに力を注いでます、その手段が地獄のような難易度を乗り越えた先の「THE DEMON WAS DESTROYED」であり、プレイヤーは同じ達成感を味わうために、また地獄のようなステージへ挑戦します。またステージ自体も慎重に攻略すれば、クリアはできることを学んでるんでどんどん挑戦したくなります。
一方でLeft ALiveはかなり違います、このゲームは生身で死ぬとそのままゲームオーバーで、最後にセーブしたエリアからやり直しです。ただし、そのステージの進行度はセーブした地点から始まります、デモンズソウルみたいにやり直しにはなりません。
デモンズソウルが知識の獲得、ショートカットの作動などにより少しずつステージを攻略するゲームならば、Left Aliveは知識を獲得し、無事にセーブポイントからセーブポイント、または目的地へ渡り歩くことを目的として、少しずつステージを攻略するゲームだといえるでしょう。
このゲームは基本的にはTPSであるので、敵に見つかってない状態でプレイヤーが取れる行動ってのは多くなってます。敵を集めて火炎瓶で燃やすか、もしくは敵の注意をそらして駆け抜けるか、目的地への別ルートを探すか、銃撃戦で強行突破をするかなど...、色々な選択肢がありますが、見つかった場合には選択肢の数は激減します、逃げるか敵を倒すかです、TPSなので仕方ないことではありますが。
この選択肢の激減がデモンズソウルとの大きな違いでしょう、デモンズソウルでは敵に見つかる前と後で選択肢が大きく減るなんてことは無いです、気付かれただけなら、道具を使う準備だってできますし、どれだけ多くの敵に気付かれても逃げることができますし、間合いに近づかれない限りは安全です。
しかし、Left Aliveは見つかった瞬間に隠れるか殺すかのどちらかを考えないといけません。何せ、敵は銃を持ったろくでなしどもです、敵が気付く=敵の間合いに入ることと同義ですし、3人ぐらいに囲まれるとハチの巣になって死にます、考えなしに走って逃げようとしても背中から銃弾の雨を食らって死んだりもします。
これより、Left Aliveがゲームのシステムの中心として考えているのは、敵と関わることを避ける、敵>>>自分となっている戦場内で多くの選択肢の中から最適解を選び、切り抜けていく体験をさせることだったのでしょう。
デモンズソウルでの高い壁はダンジョンを探索しボスを倒すことでしたが、Left Aliveでの高い壁とされる要素は、生き残ることが難しい中で生き抜くということです。
このゲームが目指したのは不利な状況から生き残る達成感だったのです
つまり、Left Aliveはデモンズソウルと違い、プレイヤーは非力な存在で、敵を倒すのが中心でないゲームシステムを目指していたのだと思います
プレイヤーは超人か?それとも非力な存在か?という問題
デモンズソウルと無理やり比較してLeft Aliveのゲーム性を説明しましたが、Left Aliveが敵>>>主人公の状態を作り出し、敵を倒すことが中心でないゲームを目指して、特別でない一般人が戦場を生き残るというのをコンセプトとしたとき、個人的に気になることが出てきます。
「一般人であるからゲーム内では弱くあるべき!」みたいなことではなく(肩書一般人が無双するゲームもあるしね)、ゲームのコンセプト上、プレイヤーは敵の軍勢に対して非力な個人であるという事を受け入れたうえでの話です。
それは、ゲーム内における主人公たちの行動(ストーリーの流れ、ステージ内容)はどう考えても超人であり、ヒーローに近いものであるということです。スライディングで歩兵を吹っ飛ばせるなどのシステム面の事ではありません。
一応、三人の主人公は軍人、元軍人、傭兵ですので、ロケットランチャーとかの重火器が扱え、ヴァンツァーに乗れちゃうなんて言う部分は気にならないと思います。
これは一部チャプターにおいて、敵との正面衝突や、敵を全員排除しないといけないことがあるので気になった点です。
あくまで防衛戦やギミックを用いたボスであるチャプター4と6の防衛ステージ、14の最終決戦なんかは気になりません、こちらもトラップを張ったりできますし、事前に準備する時間を用意してくれるなら、やってくる敵を罠、道具で排除するというコンセプトで受け入れることができましたし、こちらの対抗手段が無い敵を助けを借りて倒すというのも良かったです。
ここで自分が言及したいのは、チャプター2,4,9,12,14の強制戦闘、排除の部分です。チャプター13の最後の戦闘も気になる人がいるかもしれません。
この部分では一般人であるはずのプレイヤーキャラが明らかに格上の相手を正面衝突で倒したり、敵を皆殺しにしたり、大量のヴァンツァーを破壊したりします。
この部分を考え出すと、Left Aliveのストーリー構成とゲームのコンセプトにどうしてもずれを感じてしまいます。
そりゃまあ生き残るために敵を倒さないといけない場面もあるでしょうが、いくら何でも回数が多すぎると思います。非力な存在であるはずの主人公たちですが、「こいつらがあと20人くらい居たなら戦争に勝ってたじゃん」と思うぐらい強制戦闘、排除が求められるシーンが多く疑問でした(ヴァンツァー1機で敵のヴァンツァー3,4機壊したりするしすげえよ)。
このゲームのコンセプトは生き残るためにできるだけ戦いを避けていくゲームだと考察しましたが、ギミックもない強制戦闘であったり敵を排除しないといけない場面などが多いと何を目指したのかがよく分かりません。
開発者はゲームにおける刺激として、強制戦闘を入れたのだと思いますが、正直言って敵>>>主人公のこのゲームでは余計なお世話な気がします。純粋にリソース管理の戦場脱出ゲームとして楽しませてほしかったです
どうしても強制戦闘を入れるなら、回数を減らすか、ギミックを使って敵を倒したりする、防衛戦でトラップなどを仕掛けられるといったステージを多くする工夫がほしかったです。
非力な存在であるはずなのに敵兵十数人に正面から喧嘩を売って勝つような流れにするのはおかしい感じです。
このゲームの脱落者がチャプター2で多いのも、この強制戦闘の難易度の高さ、コンセプトとあっていない感じを体験してしまうからだと思っています。
ただし、このゲームの所々に強制戦闘があるのには一応理由もあります
「LEFT ALIVE」はローグライクのようなゲームを目指したサバイバルアクション。ディレクターの鍋島俊文氏にインタビュー - 4Gamer.net
このインタビュー中に
鍋島氏:
LEFT ALIVEでは,「目的を達成するための手段の多様性」と「リソースの管理と消費」をテーマにしているんです。
ローグライクゲームにおいて,ダンジョンでの目標は“階段にたどり着く”ことであり,途中のモンスターは倒しても無視しても構いません。状況によっては戦わないことが賢明な場合もあります。その道中で,武器や食料といったリソースを集めていく。そして,どうしても戦わなければならないモンスターハウスのようなところで,溜めたリソースをつぎ込んで一気に勝負をかけるわけです。
と鍋島さんがおっしゃっている場面があって、文字通りLeft Aliveにおける強制戦闘は大量のリソースを吐き出すべき、使いどころであるようにする狙いがあると解説されています(詳しくは全文読んでね)。
これを読むと、強制戦闘を入れたかった理由もわかりますし、実際に強制戦闘がないとプレイヤーのリソースはあまりまくると思います。
ですが、もう少しこうプレイヤーは大量の敵を蹴散らすことのできる存在では無いということを中心にステージやストーリーを構成してほしかった気がして仕方ないです。
リソースをうまくやりくりし、吐き出すべきところで使うというコンセプトは実際に面白かっただけに残念です。
実際、侵略されてボロ負けのはずなのに、敵軍はプレイヤー3人にかき回されまくってるんですよね。友軍は撤退したりしてかなり負けムードなのに、プレイヤー3人が大暴れしたおかげで、陰謀であったり軍の機密に迫ることができちゃいます。パッケージ裏に「敵に支配された戦場を生き残れ」っていうのが書いてあるんですが、そういうキャッチフレーズなら、もう少しストーリーの流れを変えてくれよなって感じですね。
このゲームは理不尽なのか?
初めに言いますがこの部分は個人の意見ダダ盛ですので注意してください。
最後にこの問題にも触れておきます。個人の意見ですが、このゲームは、道具を使用して、極力正面戦闘を避け、目的地に突き進むことを目指すゲーム(生存者は囮として使ってもよい)ととらえると理不尽ではないと思います。
ただし、ゲーム側はそういうゲームであることを十分に伝えていないです。
またゲームシステムの誤解を感じさせる要素も多いです
誤解を感じさせる要素というのは先ほどの「プレイヤーは超人か?それとも非力な存在か?という問題」でも述べた、ストーリーと、ゲームシステムのズレや、前回の僕の記事で述べた、マーケティング層とゲームシステムのズレなどがゲームシステムの誤解を感じさせる要因です。
「ゲーム側が十分に伝えてないってどういうこと?チュートリアルがあったじゃん」
みたいに思われる方もいると思います。ここで僕が言いたいのはレベルデザインの事です。
レベルデザインの定義ですが、難易度調整の事ではなく、そのステージをプレイしていくうえでプレイヤーが何を見て、どのように動くか、思ったりするかなどを考え、敵の配置位置や地形とかを作っていくことです。
シングルプレイヤーゲームには操作説明、文章におけるチュートリアルのほかに、レベルデザインによってプレイヤーを誘導し、体験させることでのチュートリアルがあると個人的に考えています。
レベルデザインによる体験型チュートリアルの優れた例は、Valve社のFPSであるHalf-Life2のチャプター6、「レーベンホルムには行かない」が優れていると思っていて(あとは同じValve社のPortalとかもすごく良い)、この「レーベンホルムには行かない」では、プレイヤーは周りの持ち運び可能なものをぶつけれたり、重いものを押したりできる道具「グラビティガン」を初めて手にします。
そして、このステージはFPSでありながらも「グラビティガン」のみで、銃を使わずともクリアできるように多くの工夫がされているのです。つまりは「レーベンホルムには行かない」というレベル自体がうまい具合に「グラビティガン」のチュートリアルになってます。
優れたレベルデザインはプレイヤーの体験をより良いものにするだけでなくチュートリアルにもなると個人的に考えていて、Left Aliveの序盤のレベルデザインが体験させることによるチュートリアルになっていたかは疑問を感じます。
つまり、このゲームは敵が固い、ステルスキルがない、敵のエイムが良すぎるから理不尽なのではなく、ゲーム側のチュートリアルの不十分さ、システムが要求するプレイスタイルとプレイヤーが考えるプレイスタイルのズレが発生したことによる理不尽だと感じてしまう状態。というのに近いと僕は思っています
最後に
この7000文字もの記事を読んでくださり、ありがとうございます。
この記事だけ見るとLeft Aliveアンチの人間みたいに思われますが、システムは個人的にかなり気に入り、楽しませてもらっただけに、残念だったなーと思ったところを書いた記事にしました。一応次回作が出るなら予約しようと思うくらいには好きですし、良いゲームだと思ってます。
このLeft Aliveというゲームのシステムは、間違いなく一定の人を夢中にさせるものを持ってると思います。
もちろん上で述べたようにチュートリアルの不十分さや、ストーリーとシステムのズレなんかもありますが、それを含めて「Left Alive」というジャンルだと受け入れ、楽しめるのならば、これは読んでくださっている人にとって良いゲームになるでしょう。
Amazonでみたところ2000円台なので令和になる前に挑戦してみてはいかがでしょうか。
この記事に関して何か意見などありましたら伝えてくださるとうれしいです。
追記 カジュアルモードについて
アップデートにより、このゲームがシューターライク(強化無しヘッドショットで一撃死が狙えるなど)にプレイできるカジュアルモードが追加されました。
チャプター1だけ遊んでみた感想としては、敵を積極的に倒しに行けるようになってしまい、Left Aliveの目指していたゲーム性は大きく損なわれてるんじゃないかと個人的に思いました。
極力敵に喧嘩を売るのを避けることを推奨したゲームシステムなのに、敵をなぎ倒せるのはやはり違和感があります。それこそプレイヤーは非力な存在であるはずなのに敵陣で大暴れしてる違和感を強くするだけです。
まあカジュアルだけシューターライク、そのほかの難易度は従来のLeft Aliveであると考えることもできますし、カジュアルモードが多くの人にとっての、Left Aliveを触る入口になってくれたならうれしいです
あと、もとからあった難易度を選択する際に、「敵との戦闘を避け、敵を観察し、切り抜けられる場所は無いか考えよう」みたいな文章も追加されました。
これはゲームシステムを伝えようとしてくれる追加要素なので嬉しかったです
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